【 旅の栞 】

祭礼図絵馬:いちはら探訪

「祭礼の図]絵馬について

青柳(市内青柳字北青柳)の若宮神社の絵馬について平成6年3月18日、対馬郁夫・谷嶋一馬・滝本平八氏が小倉澄夫氏をはじめ同神社の役員立ち会いにより調査を行った。その結果江戸時代の民族や風俗を伝える貴重な資料であることが確認された。(写真提供:滝本平八氏)

当絵馬の図柄は、神社の建物と神官が先導して渡御する神輿、境内の土俵で相撲をとる力士の図や鳥居の外には「名物青柳飴」の看板を立て飴を売る商人の姿、貝と思われる荷を積んだ四艘の船が描かれている。絵師の名は抹消されて不明である。
  当絵馬の両側に奉納者と修理したと思われる銘文が左右に記されている。
  右側の銘文=江戸霊岸嶋東湊町□□月□□日問屋□□
  左側の銘文=宝永三年丙戌六月吉祥日・宝暦七年丑六月□□
        享保十三年戌申大吉日・文化五年戌辰八月□□
  裏板の銘文=宝永三年丙戌歳納入 と記されている。

この絵馬で特に注意したい事は、絵師は往時の祭礼風俗を中心に描いているが、浜でもない神社の境内に貝を積んだオショクリ(押送船)を四艘並べて描いている。これは江戸で青柳産の瑪珂貝が美味で好評を得ているので、銘文にある角屋が意図的にその貝を積んだ船を絵師に描かせたものと思われる。瑪珂貝は全国的に「アオヤギ」と産地名で呼ばれているが、この絵馬の描かれた頃に江戸市中ににその名称が普及したものと思われる。

また飴売りの屋台に掲げた「青柳飴」の看板は江戸で「アオヤギ」の知名度を高める事に一役かったものと思われる。この絵馬について「千葉県の歴史・資料編近世1」に民族の面から一級の資料であると評価されている。

落合三代次・谷嶋一馬共著 『失われ行く浜言葉 付編 浜の伝承と民族』千葉県市原市の「市原を知る会」から発行。問い合わせ先 0436-22-3817 谷嶋一馬。 『失われ行く浜言葉』から転載いたしました。

▲このページの上へ

Copyright © 2007 道楽悠悠 All Rights Reserved.