【古代上総の道】

古代上総国の嶋穴駅と官道Y

結語

 古道調査中、七ツ町地区の市道間の間隔が一町に当たる長さである事を発見したことから、古代嶋穴郷に於ける条理地割による区画の復元を試みた結果、律令期の区画が確認され、これにより駅家跡の位置地推定の手掛かりを掴む事が出来た。
 元市原市文化財研究会事務局長青柳至彦氏は、この推定地である七ツ町以外に、駅家跡推定地は無いという見地から、遺構の確認調査・遺跡の保存を計るべく、市原市文化財研究会に提案された。この案は現会長小川八紀氏に引き継がれ、瀧本平八、矢ヶ崎靖馬氏等の協力を得て本報告書を刊行する運びとなった。一方、七ツ町町会長石原義雄氏は駅家推定地の歴史的環境を後世に残すという意向を示される等、その保存対策も着々と進みつつあり、その成果を期待するものである。
 本稿を草するに当たり、瀧本平八氏、県文化財センタ−の須藤美智子氏には、大変お世話になった。末筆であるが厚く御礼申し上げる次第である。
引用・参考文献
(1)樋口義幸 藤原文夫 「養老川」市原市別巻 市原市 昭和五十四年
(2)市原郡教育委員会編 「市原郡誌」大正十五年
(3)高橋康男「青柳塚群」市原市文化財センタ−
(4)岸本道昭「古代山陽道と布勢駅家」古代交通研究 創刊号 平成四年
(5)荻 能幸「落地遺跡発掘調査概要」古代交通研究 創刊号 平成四年
(6)井関弘太郎「三角州」朝倉書店 昭和四十七年
(7)「嶋穴神社社殿改築・境内整整記録」嶋穴神社社務所 平成二年
(8)半田賢三「山田橋大塚台遺跡」市原市文化財センタ−発表会概要 平成六年
(9)谷嶋一馬「稲荷台遺跡調査概要」上総国分寺台遺跡調査団
(10)小熊吉蔵「鎌倉街道」「史蹟名勝天然記念物調査」第十輯 千葉県 昭和八年
(11)須田 勉「川原井廃寺と古東海道」南総郷土文化財研究会誌 第11号 昭和五十三年
(12)木下 良「日本古代律令期に敷設された直線的計画道の復元的研究」国学院大学 平成二年
(13)喜連川文書「古河公方 足利義氏朱印状」栃木県史史料編

市原市文化財研究会紀要第一輯
古代上総国の嶋穴駅と官道
市原市文化財研究会 著作 谷嶋一馬
 
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